第3回展


リップル

苅部太郎 中田拓法 MANA HIRAI 森綾乃

2024年7月6日(土) ~ 8月4日(日)
12:00~19:00(金・土は20:00 まで)火曜休場


写真表現、絵画表現は、多岐にわたる外的要因によって揺れ動く。その構造的なエッセンスとして、作為と無作為がある。写真表現は、レンズに映るもの全てを光によって描き出す無作為性に、その特性があると言える。一方、絵画表現は、作者の作為が強く反映される。作者はキャンバスなどの支持体に一から世界を構築する。この対比関係ゆえに、お互いがその独自性に憧れ、領域を横断することで、多様な表現が生まれてきたことは周知の事実であろう。

今回の展示は、上述の流れを踏まえながら、それぞれのメディアにおける既存の作為と無作為の定義を探り、時には疑問を抱きながらも、それぞれの表現手法を模索することで、新たな視点を提案するアーティストによって構成されている。

また、本展示へ向け、メンバーそれぞれが「リップル」というキーワードからインスピレーションを得て、作品を一点制作した。作品のアイデア段階から、展示メンバーは対話を重ね、その過程でアイデアが広がり、深まり、結びついていった。それは波の重ね合わせの原理のように、各々の独立性を保ちながらも、展覧会という限られた場で、大きな振幅を得るための取り組みである。

Contents

Artists

苅部太郎

KARIBE Taro

《あの海に見える岩に、弓を射よ》2022

1988年愛知県生まれ。
写真メディア技術や表象の機能について考察。視覚情報伝達制度や知覚システム、テクノロジーと人間の相互作用が「ものを見る経験」に与える影響を扱う。

主な展覧会に「Electric Caveman」(HECTARE、東京、2023)、「浅間国際フォトフェスティバル」(MMoP、長野、2023)、「Platform 29.8」(ANB Tokyo、東京、2022)、「Head on Photo Festival」(Paddington Town Hall、シドニー、2018)。
2024年 Japan Photo Award・Elisa Medde賞。


中田拓法

NAKATA Takunori

《カーネーション》2024

1982年埼玉県生まれ。
メディア学の学士を取得した後、多摩美術大学油画専攻に入学。2014年に多摩美術大学大学院修了。 伝統的な絵画にデジタル技術を介在させることで、新たな表現を探っている。

主な展覧会に「IMA next EXHIBITION 02 受賞作品展」(北村写真機店 Space Lucida 、東京、2023)、「Platform 29.8」(ANB Tokyo、東京、2022)、「H@ppy Dokuro」(CRISPY EGG Gallery 、神奈川、2022)、「BankART AIR 2022 SPRING OPEN STUDIO」(BankART Station 、神奈川、2022)。
2022年 IMA next #34 Photography and Painting (審査員:鈴木理策) グランプリ。

MANA HIRAI

MANA HIRAI

《Propagative Particle Genes as Culture #005》2023

1993年北海道生まれ。
2016年東京工芸大学芸術学部写真学科 卒業
撮影後に偶発的な処理を施し、現実とは異化された瞬間を切り取った抽象的なイメージを写真として制作している。複製技術における“オリジナルの所在”について写真の定義の中で複数の技法を用い、実験的に制作している。

主な展覧会に「WHAT CAFE EXHIBITION」(WHAT CAFE 、Shinagawa、Tokyo Japan) 、「Platform 29.8」(ANB Tokyo 、Roppongi、Tokyo Japan) 、「TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD NEW VISOINS」(G/P gallery Shinonome、Tokyo) 、China Photo Festival – Tokyo Women’s Photo Exhibition (Xiamen China)。

森綾乃

MORI Ayano

《にナ、カ、レあそ》2024

1990年大阪府生まれ。 
2014年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻 修了
布をレイヤー状に何層にも重ねては描くアプローチで絵画作品を制作。シンプルな表層ながら、 鑑賞者に空気感や蓄積された時間の経緯、空間そのものを感じさせる。 ありのままの、自由闊達な表現の中でのびやかにだらしなく、空間の奥深くまで潜り込みたい。

主な展覧会に「STUDIO HAIDENBAN exhibition」(京都岡崎蔦屋、京都、2023)、個展「ユイゆシス」(galleryMain、京都、2022)、「森綾乃×牧田紗季 blue in heaps 」(s+arts、東京、2022)。VOCA展2015に選出。 株式会社BRASSにコレクション、株式会社河合電器製作所壁画制作など 。

Events

オープニングパーティ

7月6日(土)17:00〜19:00

 

ギャラリートーク

7月20日(土)16:00〜17:30

ゲスト:山峰潤也
(キュレーター/プロデューサー/株式会社NYAW代表取締役/東京藝術大学客員教授)

Photo by Mayumi Hosokura

東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターにて、キュレーターとして勤務したのち、ANB Tokyoの設立とディレクションを手掛ける。その後、文化/アート関連事業の企画やコンサルを行う株式会社NYAWを設立。展覧会のキュレーション、アートプロジェクトのプロデュース、雑誌やテレビなどのアート番組や特集の監修、執筆、講演、審査委員、国際機関による海外派遣など多数。その他、文化を含む社会共通資本に関わるインパクト評価の研究や地域の魅力を再発見していく旅を2024年より自主活動としてスタート。
国立アートリサーチセンター室長室外部アドバイザー、CIMAM(国際美術館会議)個人会員。

 

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