第2回展


紙・姿・詩 

イ ヘリム 胡 琪 蘇 楚旋

2024年5月17日(金) ~ 6月23日(日)
12:00~19:00(金・土は20:00 まで)火曜休場


我々がみる世界は見えるもののみで出来上がっていると言い切れるだろうか。
そう思い込むには、現れてからはすぐその姿を消してしまうものやことが我々の周辺にはたくさんある。「時間」は、「感情」は、「気配」は目に見えないが確実に存在しており、常に我々の周辺を漂いながら気付かされた瞬間にのみ姿を現す。芸術家はそういった瞬間のイメージに惹かれ、意味を与えたりそれを生け捕ろうとしたりするなど表現に結びつけようとする。本展ではバックグラウンドの異なる3人が関心を寄せている「空間」や「場所」に置かれる様々な抽象的な存在と直・間接的に関係性をもつ紙、姿、詩という3つの「し」を引き出し、紡ぎ出された作品を発表する。

イ ヘリムは紙漉きという技法を用い、層を重ねて出来上がる紙の作り方と開発により生成と消滅を繰り返す町の変化との関係性を見出す。胡 琪(コ キ)は個人の身体的経験を単位として、目で見るのではなく身体を使って空間を鑑賞することによって、人間が持つより普遍的な感情の共鳴を伝える。最後に蘇 楚旋(ソ ソセン)は定型詩の諸要素を建築設計に利用する建築方法論を提案し、詩の物理的な空間化を試みる。

Contents

Artists

イ ヘリム

LEE Hyelim


左《Air-Scenery #grid1》手漉き紙、デジタルプリント、2023年
右《Sequence #white》手漉き紙、2021年 
撮影:ベク ヒョンギョン

1992年韓国ソウル生まれ。 
2024年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士号取得。 
来日した2018年に「紙漉き」に触れ原料加工から紙漉きまで全ての工程を自身で行い、主に紙の作品を制作する。最近は、都市開発により居住地の周辺に激しい変化が起こり、消えてしまったり、我々から忘れられていったりするものやことに注目することになり、それらを紙という素材と、紙を漉くという行為を通じて表現しようと試みる。 主な展覧会には、個展に「時間が宿る紙」(2021年、裏山道ガーデン、東京)、「ホワイトノイズ」(2021年、小川町、埼玉)、「着せ替え風景」(2022年、金柑画廊、東京)、グループ展に「第34回 今立現代美術紙展」(2022年、今立、福井)、「소요지 逍遥紙 : 너른 종이 길」(2024年、중간지점 둘、韓国ソウル)などがある。


胡 琪

KO Ki

《扉》(部分)サイズ可変、アクリル、色鉛筆、パステル、木枠/キャンバス、2023〜2024年

1996年中国安徽省生まれ。
2024年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士号取得。
現在は東京を拠点に大型油画作品を通じて、絵画に固有の形式や枠組みは、絵画内の空間と枠外の現実の空間が融合する表現を可能性を探求している。「空間認知」と「情感表現」基本的な知覚を手がかりに、鑑賞者との共鳴の橋を築くことを期待しながら制作している。


蘇 楚旋

SU Chuxuan

《定型詩の構造による建築デザイン》デジタル出力、サイズ可変、2023年

1996年中国貴州省生まれ。
2024年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了、博士号取得。
建築と言語の関わり、言語芸術としての定型詩を建築設計に利用するための具体の手続きを研究している。
在学中には、定型詩と建築の融合は構造主義言語学から建築史、建築家・建築デザイン研究にまたがる学際的なアプローチを通じ、定型詩と建築という本来領域の異なる芸術/デザインを接続する理論的枠組を研究した。この研究を通じて、多元化する社会に建築について述べる・考える時に新たな可能性を提供したい。

 

Events

オープニングレセプション

5月19日(日)15:00〜

事前予約不要、参加無料

トーク

5月19日(日)17:00〜
登壇者:イ ヘリム(出展作家)、豊嶋康子(現代美術家・東京造形大学教授)

事前予約不要、参加無料

自然素材/裏面と側面/支持体/日常という
4つのキーワードを重点的に取り上げ、2人が作品について話し合います。

ライブペインティングイベント

6月16日(日)17:00〜
胡 琪×栗原一成

事前予約不要、参加無料、定員制限(20名)あり

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