
バベルの放課後
家入嘉寿馬 磯崎海人 井上玲央真 鷹木彩乃 渡部真衣
キュレーション:家入嘉寿馬
2026年4月4日(土) ~ 5月10日(日)
12:00~19:00(金・土は20:00 まで)火曜休場
ぼくたちはさまざまなイメージを日々作り出している。それは家事をすること、仕事をすること、SNSに文や写真を投稿することでもあったりして、世界はそれらの集積で出来ている。
一つの場所に複数のイメージが流れ込み、一つの風景になる。そしてその風景は様々に解釈され、以前とは異なるイメージを人々は作り続ける。そこに流れる時間を、観測した誰かがその視点で語るとき誰かが歴史と呼び、物語として世界に流通していく。
かつて、言葉とその流通経路を持つ人間が限られていた頃、歴史という物語はもっとシンプルに語ることが可能だったが、ぼくたちを取り巻く社会やメディア環境の変化がそれを変えた。無数に生まれ続ける物語は、世界の観測者とその制作者、つまり人間の数だけ現れては消えてゆく。それまで不可視だったのは、そのような小さな物語だけではなかったのだ。
バベルの神話は、古代バビロニアの人々がバベルの塔という高い塔を作り天を目指したことに怒った神が、塔を壊し、二度とそのような塔を作れないように人間の言葉をばらばらにして、人々は世界に散らばっていったという物語だ。
この物語は人々が何かを作るということ自体について物語ってるようにぼくには思えた。一つの場所を持ちながらも、無数にありうる視点と解釈、そしてその主体の拡散によって、何かを作ることが不可能になるということ。他方で現代においても人々は、個人でも複数人でも、例えば作品だったり街だったり歴史だったりを作り続けている。何がどのように作られるかは、最初から 意識されてもいるし、されていなかったりもする。
いずれにせよ、ぼくたちはきっとバベル以前も以後も、同じ一つの世界という場所を共有して様々なものを作り続けている。そしてその成果が世界の一部になり、その集積が世界になってゆく。
バベル以後に生きるぼくたちは、常に混乱しているように思える。複雑すぎる世界を目の前にして、言葉の異なる誰かと何をどう作ればいいのか。あるいはそれすらも見失うのか。
意識的、無意識的であるかに関わらず、ぼくたちは結果的に語られることになる何かを作り続けている。その不確かな何かを、例えば異なる出自や視点を持ちながらも同じ大学という場所を経験し卒業したぼくたちには、そのような前提のもとにバベルの神話と、個々の、或いはぼくたちとしての体験を重ね合わせた展覧会を作ることで、思考することができるのではないだろうか。
大学の卒業とはある物語の終わりを意味しつつも、そこに含まれていた無数の物語の終わりではない。または、別の物語に含まれる要素なのかもしれない。
本展はそのような、世界の観測者でもあり制作者でもある主体によって、何かが生成されるということについての一つのサンプルである。そのようなサンプルは世界に無数に立ち現れ、現実に流通しうる風景となり、やがてその続きを紡がれるのを待つようになる。この物語はどのような物語になってゆくのだろう。
ぼくたちにはまだそのあらすじを選ぶ余地は残されているはずだと思う。
Artists
家入嘉寿馬
IEIRI Kazuma

1998年神奈川県生まれ。2020年、多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻入学、24年卒業。 iPhoneのアルバム内の画像や動画をもとに、あり得たかもしれない可能性やそのようなことを考えてしまうことについて、現実には実在しないが脳内で執拗に回帰する存在としての幽霊がいる風景についての制作を行う。
2023 グループ展「SLOW MAIL」(GALLERY33)
グループ展「EPIC PAINTERS Vol.11」(THE blank GALLERY)
個展「PAINTING FROM THE UNDERGROUND」(PATH ARTS)
キュレーション「未完全な地図」(Room_412)
2024 3人展「場所 場所 場所」(DDD ART 凪)
2025 グループ展「THE TEAM SHOW」(NAZUKA 2G)
グループ展「もう一つの世界を歩く」(DDD ART 凪)
キュレーション「みえたけどない ないけどみえた」(DDD ART凪)
受賞歴
2022 Idemitsu Art Award 入選
2023 上野の森美術館大賞 入選
磯崎海人
ISOZAKI Kaito

1999年神奈川県生まれ。2020年、多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻入学、24年卒業。
複数の場所やコミュニティを横断することによって生じる自身の“同一性”や“主体性”のブレについて絵画や電光掲示板、地図や看板などの記号を扱い思考し制作している。
2023 グループ展「SLOW MAIL」(GALLERY33)
二人展「未完全な地図」(Room_412)
2024 キュレーション 「マルチレベル・インターセクション」(DDD ART 凪)
キュレーション「場所 場所 場所」(DDD ART 凪)
2025 グループ展「もう一つの世界を歩く」(DDD ART 凪)
キュレーション「変化 / し / 続ける / 現在地」(DDD ART 苑)
グループ展「透ける星現れて」(same gallery)
受賞歴
2023 TUB showing 2023(多摩美術大学TUB)
井上玲央真
INOUE Reoma

1998年東京都生まれ。2020年、多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻入学、24年卒業。
日常の中で繰り返される風景を元に、日常における連続して発生し行われるけど同じものはひとつもないものを、その営みの中に存在する痕跡を探したり、アニメやゲームにおいて舞台となった場所に足を運ぶことでその実存を確かめたりして制作を行う。
2020 Gallery美の舎学生公募展 Works! Vol.1(Gallery美の舎)
2021 グループ展「CROSS OVER Vol.30 in Thailand」(Palette Art Space)
ACTアート大賞展2021(The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT5)
グループ展「IDENTITY」(Room_412)
個展「Preconceived notions」(Gallery美の舎)
2022 企画展「道志展⇔同視点」(上海梧桐美術館)
個展「擬態するインターフェイス」(haco -art brewing gallery-)
2023 グループ展「EPIC PAINTERS Vol.11」(THE blank GALLERY)
グループ展「星屑のスイザンコウ展」(新宿眼科画廊)
2024 企画展「もう一つの世界を歩く」(DDD ART 凪)
企画展「散らかしガーデンプレイス」(アトリエ・サロン-コウシンキョク)
受賞歴
2020 Gallery美の舎学生選抜展 優秀賞
2021 Landscape展 優秀賞
第71回学展全国学生アート&デザインアワード 優秀賞
2022 ヤングアーティスト公募展 いい芽ふくら芽 in Tokyo 2022 入選
鷹木彩乃
TAKAGI Ayano

1998年栃木県宇都宮生まれ。2017年、多摩美術大学絵画学科油画専攻入学、21年卒業。
平面作品によく使われる主線を立体化させ、絵画と立体の中間である「半立体」作品を制作する。自由なかたちやあらゆる素材、対比するものたちを肉付けすることで、お互いを密接に共生させる。
2022 「GALLERY SCENA Pre Open」展(GALLERY SCENA.)
「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022」(マリンメッセ福岡B館)
グループ展 「Five New Colors」(GALLERY SCENA.)
「DAEGU INTERNATIONAL ART FAIR 2022」(DAEGU EXCO HALL4,5,6)
2023 「ONE ART TAIPEI 2023」(Hotel Metropolitan Premier Taipei)
グループ展「Group show 金魚空間」(Art Space 金魚空間)
「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」(マリンメッセ福岡)
2024 「ONE ART TAIPEI 2024」(Hotel Metropolitan Premier Taipei)
グループ展「マルチレベル・インターセクション」(DDD ART 凪)
2025 企画グループ展「のりうつり のりうつる」(POWDERⓇOM)
渡部真衣
WATANABE Uzuki

1998年千葉県生まれ。2020年、多摩美術大学美術学部絵画学科日本画専攻入学、26年同大学大学院修了。
見る/見られるという関係や象徴の在り方について、 贈与や暴力などをキーワードとして考え制作している。
2023 グループ展「SLOW MAIL」(GALLERY33)
グループ展「タマゴを交換するようなこと」(Room_412)
2024 「tagboat Art Fair 2024」(東京都立産業貿易センター)
3人展「場所 場所 場所」(DDD ART 凪)
2025 多摩美術大学大学院 日本画研究領域二年生展「半斤八両」(佐藤美術館)
受賞歴
2023 第8回石本正日本画大賞展 入選
Events
レセプションパーティー
4月4日(土)17:00~