
土が覚えていること/
What the Clay Remembers
鯨虎じょう 伊勢崎寛太郎 大井真希 後藤実穂 田村麻未 森川裕也
2026年2月21日(土)~3 月29 日(日)
12:00~19:00(金・土は20:00まで)火曜休場
本展では、「ドローイング」という行為を手がかりに陶表現の枠組みを捉え直すことをテーマにしています。ここで言うドローイングとは、紙の上に線を引くことだけに限らず、素材と向き合う中で生まれる思考や反復、実践や探求といった形を探るための一連の行為全体を含むものとして位置付けています。この視点は、焼き物を仕上がりだけでなく、その過程や素材の動きから読み解こうとする長年の試みが、近年とくに多様なかたちで現れ始めている状況と重なるように思います。
粘土には、成形時に加えられた力に応じて、乾燥や焼成の過程で反発や変形を起こす性質があります。本展タイトル「What the Clay Remembers/土が覚えていること」は、こうした物質のふるまいのもつ“記憶”への関心から名付けられました。
6名の参加作家それぞれが、制作の中での「ドローイング的な実践」を読み解き、素材が持つ性質や背景を制約としてではなく、新しい発想につながる手がかりとして捉えています。その過程を通して、現代における陶表現の可能性を改めて問いかける場となることを目指しています。
Artists
鯨虎じょう
ISANAKO Joe

左から《orange.blue.ptpt-3》2019年、W3×D4.5×H9cm
《Broken:♡01》2017年、W7×D3×H8cm
《No.3290-T-4202》2024年、W24.5×D23.5×H17cm
《おいもサンゴ礁おばけ》2019年、W9×D9×H15cm
釉薬、陶
1994年東京都生まれ。
幼少期は父母の故郷である高知県の海・群馬県の野山にも滞在。多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程工芸専攻(陶)修了。
洋服やアクセサリーという人間を包む装飾の皮を、陶芸における釉薬という表面を彩る皮のみによって成立させる独自技法・表現の可能性を追求している。
主な展覧会に「THE HEADLINERS 2024―陶芸フェス、はじめます。」茨城県陶芸美術館(茨城、2024-2025)、鯨虎じょう個展「毒とキュートー私たちの飾ることー」日本橋髙島屋美術画廊(東京、2025)など。
伊勢崎寛太郎
ISEZAKI Kantaro

《風化する土地》
2025年、サイズ可変、焼成された大理石、空気中の水分、空気の揺れ、時間
1998年岡山県備前市生まれ。
2020年東京造形大学美術学部彫刻専攻卒業。2023年東京藝術大学美術研究科彫刻専攻修了。
備前焼の産地に生まれ、幼い頃から伝統工芸と土地の関係性を身近に育った経験より、人と土地のかかわりに興味がある。陶芸の「土作り」や「焼成」の手法を用いて「場所」に対して彫刻行為を行い、知覚できない時間や記憶を空間を通して具現化しようと試みている。
主な展示に 「底、透ける煙に」 ギャラリーHIROUMI(東京、2025)、「9991―深淵へのまなざし―」Post-Fake(東京、2025)など。
大井真希
OI Maki

《Pulse -Transient-》
2025年、W8×D48×H25cm、陶
1995年富山県八尾町生まれ。
2017年多摩美術大学美術学部工芸学科(陶)卒業。2019年筑波大学大学院人間総合科学研究科博士前期課程芸術専攻クラフト領域修了。
主に陶を素材とした造形作品を制作。「故郷北陸の美しい風土」から着想を得て、土地に刻まれた時間や空気の層、自然の脈動を可視化しようと試みている。金沢を中心に活動し展示発表を行う。第54回神奈川県美術展/県立近代美術館賞[神奈川県立近代美術館収蔵]。
後藤実穂
GOTO Miho

《刻積》
2025年、W52×D36×H41cm、磁土
1998年長崎県生まれ。
2025年多治見市陶磁器意匠研究所卒業。
白磁の素材特有の穏やかな反射光を連続的に織り込み、微細な光の変化が作品の輪郭を立ち上げる独自の佇まいを追求している。
主な展覧会に「新しい風 ishoken のデザインと表現」日本橋髙島屋美術画廊(東京、2024)「余白/blank/freiraum/空白(Kung¹ baak⁶)」クマ財団ギャラリー(東京、2025)「土煩いーやきものに立ち現れる作家の姿一」松坂屋名古屋店ART HUB NAGOYA(愛知、2025)。
田村麻未
TAMURA Mami

《lagoon 07》
2023年、W16.5×D3.3×H15.8cm、陶、ガラス
1989年埼玉県出身。
2015年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程工芸専攻(陶)修了。
「人為と自然の間(あわい)のような存在」を作り出すことをテーマに、土やガラスに触れ作品を制作。素材を介して不可触な“時間そのもの”にどのような形を与えられるか、ということに着目している。
主な展覧会に「ロマンティック・プログレス」岐阜県現代陶芸美術館(岐阜、2022)、「の、ような」水犀(東京、2023)など。
森川裕也
MORIKAWA Yuuya

《スペインの画家》
2024年、W68×D75×H125cm、陶、ボルト、エポキシ樹脂
1993年三重県生まれ。
2017年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程工芸専攻(陶)修了。
焼き物の内在的な特性に着目し、中古の民藝品や工業製品、廃材など、既に価値を喪失したモノを陶に置き換える手法を用いて制作を行う。異なる文脈をもつモチーフを組み合わせることで、個々のモノに潜む記憶や時間を再構成し、人間社会における構造や関係性を物語として可視化することを試みる。
主な展覧会に「XVI International Ceramics Biennial of Manises」SalaEls Filtres(バレンシア、2024)、個展「Drift」MJK Galery(東京、2024)「菊池ビエンナーレ 陶芸の現在」菊池寛実記念智美術館(東京、2025-2026)など。
Events
オープニングパーティー
2月21日(土)18:00~20:00
出展作家とのクロストークイベント
2月28日(土)15:00~
ゲスト:大長智広 氏
2004年から2017年まで愛知県陶磁美術館学芸員。2017年より京都国立近代美術館に研究員として勤務。現在主任研究員。
近年の主な展覧会に「明治150年展 明治の日本画と工芸」(2018)、「川勝コレクション 鐘溪窯 陶工・河井寛次郎」(2019)、「記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ」(2020)、「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン─交差する自由へのまなざし」(2020)、「八木一夫の写真」(2021)、「生誕100年 清水九兵衛/六兵衛」(2022)、「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」(2023)
3月21日(土)
ゲスト:西條茜 氏
1989年兵庫県生まれ。京都府拠点。2014年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器分野修了。2013年ロンドンロイヤルカレッジオブアートへ交換留学。2020年度京都市芸術文化特別奨者。近年は陶磁器の特徴ともいえる内部の空洞と表面の艶やかな質感から「身体性」をキーワードに、陶彫作品及びそれらに息や声を吹き込むパフォーマンスを発表している。一方で世界各地にある窯元などに滞在し、地元の伝説や史実に基づいた作品も制作している。
主な展覧会に、国際芸術祭「あいち2025」(愛知県陶磁美術館/愛知/2025)、第1回 MIMOCA EYE / ミモカアイ 大賞受賞記念西條茜展「ダブル・タッチ」(丸⻲市猪熊弦一郎現代美術館/香川/2025)、「石川順惠、西條茜」(Blum/東京/2024)、「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」(森美術館/東京/2023)、個展「PhantomBody」(アートコートギャラリー/大阪/2022)、第4回金沢・世界工芸トリエンナーレ企画展「越境する工芸」(金沢21世紀美術館市民ギャラリー/石川/2019)など。
*詳細は決定次第Up & ComingのSNSやこのWEBページにてお知らせします