第18回展

Design: Tomoyuki Yanagawa

やわらかなスーパー・ハイウェイ

小林幹太 對中優 徳保晴人 成瀬陽太

2026年5月18日(月)~6月21日(日)
12:00~19:00(金・土は20:00 まで)火曜休場


現代の路上は、アスファルトや道路交通法といった「物質と制度」によって強固に固められた、人やモノが高速で行き交う物理的なハイウェイである。同時に、その上空や地下には目に見えない電波やデータが走る「情報スーパーハイウェイ」が重なる。このように物質的/情報的、あるいは制度的/非制度的なレイヤーが複雑に重なり合う現代の路上を「スーパー・ハイウェイ」と捉え、本展では、アーティストたちがそこに「やわらかな」介入を試みる。

この実践の起点には、1980年代に赤瀬川原平らが提唱した「路上観察学」が存在する。彼らは都市に潜む無用なもの(トマソンなど)を発見し、名指す行為を通じて、見慣れた風景を組み替える視点を提示した。それは都市を対象とした卓越した発見の学問であり、日常に潜む非日常的な価値観への鋭敏なまなざしであった。

路上観察が、その発見において遊びやフィールドワーク的側面を持ち、基本的には対象への物理的干渉を伴わない観察であったのに対し、本展はそのまなざしを継承しつつ、より能動的な介入の実践へと発展させる。路上観察が「なぜこれがここに在るのか?」というモノの存在に注目したとすれば、私たちは「それはどのように機能(あるいは機能不全)しているのか?」「その背後で作用する力は何か?」という行為への問いを立てる。

現代の路上(=スーパー・ハイウェイ)は、道路交通法や都市計画によって規定され、ルール(法律や制度)によって構築されている。物質的な路上はアスファルトやコンクリートで覆われている。そして、その上空や地下には、目に見えない情報通信網としての路上が張り巡らされている。私たちは、こうした路上にある「硬さ」に対し、あえて本来の用途から逸脱した誤用をする。これらの「やわらかな」実践は、対象を発見するだけではなく、積極的に関与し、そのモノが持つ社会的・物理的な文脈を揺さぶることで、都市に偏在する不可視のシステムや力に対し、新たな意味や意義を感じさせる振る舞いをもたらす。

Contents

Artists

小林幹太

KOBAYASHI Kanta

《ホッピングコール》2026

1999年生まれ。東京都出身。2023年、多摩美術大学情報デザイン学科卒業。2025年、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。情報技術が日常に溶け込み、不可視化されていく現象に関心を持ち、インスタレーション、映像、Webサイト、アプリケーションなど形式を問わず制作を行う。気づかぬうちに我々の感覚や思考をかたちづくる前提的な技術的枠組みに介入することで、それによって媒介された現実の見え方や意味づけを揺さぶり、浮かび上がらせることを試みている。


對中優

TAINAKA Masaru

《Drivers Circle》2026

1999年生まれ。東京都出身。2023年、武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科卒業。2025年、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現専攻博士前期課程修了。ポストインターネット、ポストヒューマニズムにおける不在感覚と想像される身体をテーマとし、見知らぬ対人や遠隔地を想定して進化してきたテクノロジーついて作品制作、発表を行う。


徳保晴人

TOKUBO Haruto

《地球をマッサージしてあげる》2026

2000年生まれ。愛知県出身。2023年、多摩美術大学情報デザイン学科卒業。2026年、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)メディア表現専攻博士前期課程修了。「バグ」という現象をテーマにこれが表現となるための実践制作を行う。表象の模倣から、それが示す構造の提示に着目する。バグを関係性のズレと捉え直し、収集・構造化する行為を通じて再構築する。


成瀬陽太

NARUSE Santa

《Points. 501-0406》2026

2000年生まれ。大阪府出身。2023年、慶應義塾大学環境情報学部卒業。2025年、情報科学芸術大学院大学(IAMAS) メディア表現専攻博士前期課程修了。路上観察を行い、そこで発見した事象をインタラクションデザイン・認知科学の知見から再構築した装置やキネティック・アート作品を制作する。日常の中で見る視覚環境へ介入し、普段は見過ごされている事象を再発見させる視覚体験を探求する。

 

Events

ギャラリートーク

2026年5月23日(土)18:00~20:00

作家がギャラリーで作品について説明しながら鑑賞するプログラム。

トークイベント

2026年6月6日(土)17:00~19:30
ゲスト:トモトシ (Tomotosi)

本展における路上でのリサーチや実践は、赤瀬川原平の路上観察的思考に端を発していながらも、そこにあるオブジェクトばかりではなく、そこで起こっていることについても取り扱っている。本イベントでは、都市や道路そのものをマテリアルとして実践してきたアーティストのトモトシ氏を迎え、都市に対するアプローチや、路上における新たな行為の可能性について、企画メンバーとの対話を行う。

トモトシ(Tomotosi)
1983年山口県出身。国立大学法人豊橋技術科学大学建設工学課程を卒業後数年にわたって建築設計・都市計画に携わる。2014年より展覧会での発表を開始。「都市に偏在する決まりごとに介入する実践」として、映像やパフォーマンスを制作している。また2020年よりトモ都市美術館を運営し、新しい都市の使い方を提案している。主な展覧会に、「tttv」(中央本線画廊、2018)、「有酸素ナンパ」(埼玉県立近代美術館、2019)、「ミッシング・サン」(代々木TOH、2021)、「絶望的遅延計画」(TAV GALLERY、2023)、「Tomotosi: Prácticas invisibles de ciudadanía」(Box Levante de Alcultura、2025)がある。 主な受賞に「WIRED CREATIVE HACK AWARD 2019」準グランプリ、「イメージフォーラム・フェスティバル2019」観客賞、「デイリーポータルZ 新人賞2020」優秀賞がある。

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